センター長 挨拶

 西出宏之教授が10月1日より理工学術院先進理工学部長に就任されたことを受け、私、朝日透が博士キャリアセンター長に着任することとなりました。着任にあたりご挨拶を申し上げます。
 環境資源エネルギー、感染症等のグローバルな問題に直面している今日、このような問題に対して、アカデミアがサイエンスを基礎とした新しいテクノロジーを創出するための学問を開拓し、進取の人材を育成することが必要とされています。一方、社会のニーズを踏まえつつ、新産業の創出を担うのは企業であり、そこでも、アカデミア同様に能力の高い人材が要求されるようになっています。従来、わが国においては、学部卒業者、修士修了者が企業に入ってから徹底的に鍛えられ、そこで力をつけて各方面で活躍し、わが国の経済成長を牽引していくケースが多く見られていました。しかしながら、現況を見ると、従来の考え方にとらわれず新しい発明や発見をし、さらにそれらに基づいた新しいシステムやデバイス、モデルを生み出すこのとできるイノベーション人材を大学において涵養し、企業に送りこむことが求められています。
 一方、国際標準化や国際上のルールの策定、グルーバル企業間におけるクリティカルな交渉などを担っていく際、学位を取得していることが大きく効いてくることがあります。逆に、学位を取得していないとそのテーブルにさえつけないこともあります。また、わが国が国際的に重要な位置を占めるには、自分の大きな専門能力を持ちつつ、プレゼンテーション力、コミュニケーション力、コラボレーション力などを身に付けた博士人材が必要とされてます。しかし、わが国ではそうした博士人材が活躍する場がまだまだ少ないように思われます。学生自身だけでなく、指導教授や企業側にも博士人材のキャリアパスに関する偏った考え方が残っており、それを改めなければそのような状況を乗り越えることができません。
 博士キャリアセンターでは高い研究能力と幅広い社会力※を身に付け、イノベーションを先導して引き起こすことができるような人材を輩出したいと考えています。そのためには博士課程においてもインターンシップなどを通じ現場を肌で感じて実践力を養うことや、インタラクティブな講義においてコミュニケーション能力、ネゴシエーション能力を習得させることなど提案してきました。インターンシップに行く前と後で、博士課程の学生やポスドクが大きく変わっていることに、センターのスタッフだけなく、選考委員の方々も大変驚いていらっしゃいます。学生やポスドク自身もインターンシップを通じて、ものごとの見方、捉え方、進め方の多様性を生に感じ、インターンシップ後にはそれらを研究の現場や今後の人生において活かしたいという心意気が養われているように思います。教員は博士課程の学生が徹底的に研究力を身に付けることができるよう指導・教育すると同時に、企業において世界を舞台に活躍する人材となれるよう本センターのカリキュラムに参加することを推奨していただければ有り難いと思っています。
 そのためには本センターの目指しているものを伝える場を多く設定し、広報活動を積極的に展開したいと思っています。ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

※社会力:元筑波学院大学学長の門脇厚司氏が1999年出版の「子供の社会力」で発表したコンセプト。現在は子供に限らずその考え方が多方面に活用されており、概ね、「深い教養・ 正しい倫理・自己と他者との正確な把握の上でのコミュニケーション力・変革を牽引するリーダーシップ等の総合力」を指す。


早稲田大学理工学術院 教授
朝日 透

 
 

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